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小売業改革 強い本部の作り方
第3回 強い商品部

トーマツ コンサルティング株式会社
マネジャー 加納由紀子 E-mail: yukiko.kano@tohmatu.co.jp


小売業の事業拡大における本部の強化方法について連載をしている本シリーズの第3回は商品部にスポットを当てていきます。商品を販売し、その対価として売上を上げている小売業にとって、商品力の強化は最も重要な要素であるといってもいいでしょう。店舗での売上を上げるための商品力の高め方と商品部の役割を整理していきます。

1.商品力とは

商品部の機能に言及する前に、まずは、商品力そのものについて整理していきましょう。
筆者は、以下の5つの要素に分解して商品力を分析しています。

A 商品品揃力 ・・・ 商圏内の競合他店と自店の展示アイテム数の比較
B 商品構成力 ・・・ 販売実績を分析し、自店の売れ筋商品を知り、それを中心とした単品別のMD
C 価格競争力 ・・・ 商圏内の競合他店と自店の価格の比較
D 価格訴求力 ・・・ 商品の「安さ感」の訴求力に関するチェック
E 価値提案力 ・・・ 商品の「価値」の訴求力に関するチェック

A.商品品揃力

商品品揃力があるかどうかは、自店と同一商圏内の競合店の取扱アイテム数を比較することで評価出来ます。
一般的に、お客様にとって「商品が多い」と感じる量としては、競合店に対してアイテム数が1.3倍以上となったときだと言われています。ただし、全商品を全ての競合店よりも1.3倍の品揃えをするとなると、在庫過多となり費用対効果が合いません。また、お客様にとっても必要としない商品がたくさんあっても意味をなしません。ですから、自社の主力商品を中心に競合店の商品調査を実施し、品揃えの強化を検討していくことが必要となります。

B.商品構成力

商品構成力とは、売れ筋商品の確保、死に筋商品の早期処分を目的とした単品のマーチャンダイジング力を指します。
常に売り場に売れ筋商品が並ぶためには、販売予測の精度を高め、それに応じた発注を行わなければなりません。
商品構成力を高めるために、図1の商品構成力分析表の活用をおすすめします。

図1 商品構成力分析表

ここでは、分類ごとに売上構成比、商品回転率(売上高÷在庫高)、坪効率(坪当たり売上高)を算出しています。
売上構成比も高く、商品回転率も良い商品が「売れ筋商品」です。坪効率も良いようであれば、更に商品量を増やしたり、欠品の無いよう発注を強化する必要があります。

C.価格競争力

価格競争力とは、ズバリ「安い」ということであり、競合よりも商品を安く販売することが出来れば、その分売上は上がりやすくなります。ただし、店舗の粗利率を確保しようと思うと、全ての商品の価格を競合店より下げることは不可能です。そのため、店舗の集客のために効果的に目玉商品を選定し、価格を下げます。より効果的な価格訴求としては、ナショナルブランドの割引率かノンブランド商品の絶対価格の告知があります。

D.価格訴求力

商品が「安い」ということと、「安さ感がある」ということが必ずしもイコールでないことがあります。
せっかく安く仕入れてきた商品も店舗の奥の方にあったり、価格が目立たなければ「安さ感」を伝えることは出来ません。安さ感を伝えるために価格競争力のある商品をチラシや店頭でアピールしたり、売り場内の陳列は目立つところにボリューム陳列する、大きなPOPをつけるなど工夫をすることが必要です。

E.価値提案力

商品の価値は実際に使用してみなければ分かりません。
使用したことのない商品に対して、お客様を説得できているかどうか、ということが価値提案力です。
例えば、POPで商品の価格だけでなく価値を分かりやすく伝えていたり、接客でしっかりおすすめできているかどうか、ということが該当します。それらの工夫が店舗でなされているかどうかが価値提案力なのです。
価値提案力の高い店舗は、粗利率が高いことが多いようです。

商品部がこの5つのポイントに対して果たせる役割は「売れ筋を知り確保すること」、「安く売るために価格を下げること」です。
続いて、商品部が担う役割を整理してみましょう。

2.商品部が担う役割

1) 商品MD・棚割作成機能

商品部が仕入先から商品を仕入れるという作業の背景には、「何を」「いくつ」売るのかといった店舗の商品戦略、店舗の商品構成、棚割の作成という業務が存在します。
通常は、各バイヤーが自分の担当商品について、各店舗の実績や仕入先からの情報をベースに作成し、商品部としての「基本MD・棚割」を作成します。
この基本MD・棚割如何で店舗の売上は決まってきます。それだけに、十分な分析のもと、作成する必要があります。
作成に当たっては、店舗実績や仕入先の情報だけでなく、各店の予算を考慮し、店舗周辺の商圏情報や競合情報も参考にします。
既存店においては半期あるいは四半期で「基本MD・棚割」作成を実施する企業が多いようです。

2) 定番商品の販売予測と商品発注機能

商品の分類で「定番商品」と「プロモーション商品」という分け方があります。
図2に定義を整理しました。

図2 定番商品とプロモーショナル商品

定番の発注に関する商品部の役割は標準在庫量などを設定し、欠品することなく商品供給されている状態をつくることです。
そのためには、仕入先との折衝、開拓に加えて、販売実績をもとに在庫量を見直しすることが必要です。

3) プロモーショナル商品の企画と商品発注機能

季節商品や特価品など店舗がしかける商品をプロモーショナル商品と定義しています。それらの商品を店舗の一等地でボリューム陳列したり、大きなPOPで目立たせることにより、店舗の活気は生まれます。
定番商品とは別に、プロモーショナル商品は販売計画(期間、売上目標、売り場イメージ、展示商品)を立て、全店実施に向けた商品供給と価格交渉を行います。
プロモーショナル商品は短期間に大量に販売することが多いので、価格交渉に際しては、全店の売上見込みを立て、ボリュームディスカウントを引き出すことも重要です。

4) 新商品、業者新規開拓機能

必要とする商品を必要な量、なるべく安く仕入れることがバイヤーの仕事ですが、そのためには常に有利な条件で取引できる相手を探したり、過去に取扱のない商品や「本来取り扱っていても良い商品」すなわち欠落商品の発見をしていかなければなりません。
また、PBの開発も必要な業務です。

5) 在庫コントロール機能

各店の販売実績、在庫データより、店舗の在庫量を把握し、発注調整、店間移動などを行うことで、全店の在庫をコントロールします。
本部機能としての商品部は全店の在庫を管理し、販売実績データを比較することで各店舗の特徴を理解しながら、売れ筋商品の店舗格差を知り、在庫の最適化を実現することが可能な立場にあるのです。

強い商品部ではこのような機能が効果的に発揮されています。ただし、これは前提であって、本部に座ってデータを分析するだけでなく、店舗の生情報をどれだけ把握しデータとの整合性を確認したり、数字の大小では判断できないことを発見することも忘れてはならないポイントです。

次回は、開発部です。

著者プロフィール

加納由紀子(かのう ゆきこ)
トーマツ コンサルティング株式会社 マネジャー
日系/アメリカ系コンサルティング会社を経て現職。リテール部門担当マネジャー。著書「売上アップのための店舗診断入門」「売れる『売り場』はこうつくる」「ストアコンサルティング」「なぜこのお店に人が集まるのか」他
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