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高齢化社会における金融資産運用の構造変化

安全性重視から収益性重視に大きく変化させる可能性が強い

「団塊の世代」が定年退職を迎え、日本は本格的な高齢化社会に突入しました。20年後の日本社会は、世帯数の約半分が60歳以上の高齢世帯を占める世界に類のない高齢化社会となります。その意味で、高齢者の金融資産に対する選択行動が、今後の日本の金融資産全体の資産運用の動向を左右するといっても過言ではありません。高齢化社会における資産運用は、安全性を重視する資産運用が中心となるのでしょうか。それとも収益性を重視しこれまで以上にリスクを追及していく資産運用に変わっていくのでしょうか。

株式・投信をリスク資産、預貯金・信託を安全資産と定義して、家計の年齢階層別の金融資産保有率をみると、最近になって60歳以上の高齢世帯中心にリスク資産の保有率が急上昇してきています。一方、従来40歳代をボトムに年齢とともに上昇していた安全資産の保有率は、逆に横ばいに転じてきています。
年齢階層別世帯数の将来推計に、過去10年間における年齢階層別のリスク資産と安全資産の保有率のトレンド変化を加味し、日本家計のリスク資産と安全資産の保有率を推計すると、20年後にはリスク資産保有率は10%上昇する一方、安全資産保有率は5%低下します。さらに、2000年代前半のトレンド変化を加味した場合、リスク資産保有率は20%上昇し安全資産保有率は10%低下します。

この結果は、「人は加齢とともにリスク回避的な選好が強まり、安全性を重視した資産運用を選択する」のではなく、「加齢とともに資産蓄積が進むと、資産運用におけるリスク許容度が高まり、リスク性資産に対する選好が強まる」ことを意味しているといえます。高齢化の進展は、日本家計の金融資産の構成を、安全性重視から米国型の収益性重視の資産構成に大きく変化させる可能性が強いことを示唆しているといえましょう。

2008年7月10日 公開
〔株式会社富士通総研 経済研究所 シニアフェロー 南波駿太郎〕

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