第2回 ITガバナンスとEA
ITが経営戦略において不可欠となった今日、各企業で急速に求められるITガバナンスをテーマに解説する連載企画。今回はEA導入によるITガバナンスの実行について、富士通グループのコンサルタントがご紹介いたします。
実行を推進する「EA」と実行サイクルを管理する「EAプロセス」
EA(Enterprise Architecture)というと、4階層のアーキテクチャーモデルを思い浮かべるかたが多いと思います。これは、EAの重要な要素のひとつですが、EAには、両輪となる、もうひとつの要素があります。
それは「EAプロセス」です。
EAプロセスとは
アーキテクチャーモデルに沿って描いたあるべき姿に向けて、「誰が」「いつ」「どのように」、「計画」「実行」「評価」するのかを明確にし、継続的な実行を推進していくことがEAであり、モデルを作成することだけがEAなのではありません。そして、この継続的な実行サイクルを管理するのがEAプロセスです。
EAは、経営の視点から業務とシステムを一体と考えてポリシーを設定し、それに基づいてあるべき姿を描き、そこに向けての移行をおこない、結果を評価してさらにあるべき姿を描く、という改善サイクルを回すことを目指します。アーキテクチャーモデルに基づく将来像を描くことは重要ですが、その実行プロセスがなければ、文字通り「絵に描いた餅」に過ぎません。
このようにみていくと、EAはITガバナンスを具体的におこなううえでの絶好なツールであることに気がつかれるかたもあるかと思います。
ITガバナンスとは、「統治すること」と言っているだけで、何をどのように統治するのか、またしないのかは、当事者にまかされています。その意思決定すること自体がITガバナンスであるわけです。
ITガバナンス実行の選択肢として、見直されるEA導入
しかし、いざITガバナンスを実行しようとしたときに、何から手をつけてよいのか悩ましい場合もあります。その場合のひとつの選択として、EA導入によりITガバナンスを実現する方法があります。EAのモデルをつくるためには経営視点のポリシーが必要ですし、EAの実行サイクルを回すためにはそのための人材育成、組織、投資評価の仕組みも整備しておく必要があります。これらはいずれもITガバナンスの要素であり、EAとしてこれらの実施計画をたてていくことが、ITガバナンスの実現につながります。
このように、EA導入はITガバナンスの一手段としてお客様にとって有益な方法です。富士通にとっても、EA導入コンサルをおこなうことは、単独でのビジネス価値以外に、あるべき姿に移行するための具体的なロードマップをお客様とともに作成することで、後工程のインフラビジネスやSIビジネスに連携しやすく、今後の商談展開に有利に働きます。さらに、商談獲得時も、あるべき姿がモデルとして明確に定義されているため、プロジェクトリスクの低減効果があります。品質のよいEA導入コンサルは、お客様と富士通の双方にとって有益なものといえます。

2005年8月 公開
〔富士通株式会社 コンサルティング事業本部 シニアコンサルタント 林 惠美子〕
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