会社統合に向けた、IT資産調査・分析
わが国のM&A(注)件数は、1996年頃から2006年までの約10年間に約5倍の2,775件に急増しています。A社様におきましても、本体の事業部と子会社が別々に手がけていた、一部製品の生産と製品開発事業を子会社に集約し、新会社を設立しました。以下に新会社設立の準備として実施した、IT資産調査・分析コンサルティングを紹介します。
1.お客様の課題
A社様の課題は、新会社設立にあたり、これまでブラックボックスだった子会社の業務とIT資産を見える化し、本体の事業部と比較した上で統合の方向性を見極めることでした。
2.実施した内容
まず新会社に移行する、本体の事業部および子会社の業務プロセス比較をおこなうことから始めました。その際、当社が持っている共通の雛型業務プロセスを活用し進めました。さらに、ITシステムの調査内容についても、当社が持っている調査項目の体系(調査分類と調査項目から構成される)から範囲を絞り込み、分析例を提示して要件を確認しながら進めました。これらにより、短期間でかつ効率的な両社比較を行うことを可能とし、その結果、両社の統合の方向性を明確にすることができました。実際に調査した内容は、業務プロセスとITの関係/ITの基本特性(アーキテクチャー、規模など)/IT貢献度/ITコストです。
3.お客様に提供したバリュー
本調査における分析結果を以下に示します。
- 両社の販売・調達の業務内容に重複部分があり、ITシステムの機能も類似していること。
- 本体事業部の生産と物流業務は、2つのITシステムでカバーされていること。しかし、子会社の生産と物流業務では、同機能のITシステムが、得意先毎にそれぞれ6つ存在し、メンテナンスなどの運用業務が非効率となっている傾向が見られ、運用/開発費は本体の約5倍となっていること。
- 本体事業部の開発業務では、設計情報管理システムの業務カバーレンジが狭いこと。子会社では、設計情報を管理するシステムがほとんど無いこと。
- 本体事業部には業務上、支障をきたすと判断された重大課題を抱えるITシステムが2つあること。しかも、稼働OSのサポート期限が切れていること。さらに、子会社でも、重大問題を抱えるITシステムが4つあり、このうち3つまでが稼働OSとDBのサポート期限が切れていること。
さらにこれらの内容も踏まえ、以下のような提言を行いました。
- 販売・調達業務については、業務とともにITを統合し、特に販売業務については、本体事業部に集約すべきであること。
- 子会社の生産・物流業務も、ITシステムを集約/集中管理することで、運用コストを圧縮可能であること。
- 本体事業部の設計情報管理システムの業務カバーレンジを広げるとともに、子会社へ横展開すべきであること。
- 重大課題を抱え、古いアーキテクチャーで構築されるITについては、最新アーキテクチャーに統一したうえで、機能改修をおこなうべきであること。
今回、見える化とともに、上記のような分析所見を報告したことにより、A社様から「今後の統合の方向性が明確になった」と高い評価をいただきました。
新会社設立となった現在、A社様の情報システム部門が中心となり、提言した新業務プロセスの検証とともに新情報システムの企画・構想の検討が始まっており、当社も商談として参加しています。
4.今後の展開
今後も、グループ統廃合や、M&AなどによるIT統合の必要性は高まっていくと思います。その際は、必ず今回のような『IT資産の調査・分析』が必須になると考えております。当社では、今回作成(活用)したヒアリングシートや分析結果をテンプレートとして活用した、効率的なIT資産分析が可能です。その後の新情報システムの企画・構想/システム構築に、充分役に立つ内容だと考えます。
『IT資産の調査・分析』をご検討中のお客様は、ぜひお問い合わせください。
(注) M&A: (Mergers and Acquisitions マージャーズ アンド アクイズィジョンズの略。企業の合併&買収のこと)
2007年12月公開
〔株式会社富士通総研 シニアコンサルタント 佐俣泰男〕
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