予防型リスク管理による企業価値向上

企業の社会的責任が一段と問われるなか、予防型リスク管理の重要性が高まっています。日常業務に潜むトラブルの芽を摘み取ることで、トラブルの未然防止はもとより、企業価値向上の側面からも効果が期待できます。今回、予防型リスク管理の実践に有効な2つのアプローチ、ワークショップとリスクマイニングについてご紹介いたします。
[連載索引] 予防型リスク管理による企業価値向上 | 検討・準備段階にはワークショップが有効 | トラブルレポートを活かしきるリスクマイニング |
予防型リスク管理に取り組む姿勢が評価される時代

多くの企業がリスク管理を最重要テーマの1つに位置づけ、さまざまな取り組みをおこなっています。しかし、分野を問わず、安全性や品質を揺るがすトラブルの報告が絶えません。トラブル発生後に原因を究明し再発防止に努める「事後型(reactive)リスク管理」から更に進んで、トラブルが起きる前から日常業務のなかのリスクを特定し、対策を実施していく「予防型(proactive)リスク管理」の実践が急務です。
社会的責任を果たす企業姿勢が、ブランドイメージや商品選択を左右する時代です。予防型リスク管理は、トラブルの未然防止のみならず、企業価値向上の側面からも関心が高まっています。海外の格付け機関が、ERM(エンタープライズ・リスクマネジメント)(注1)の活動を評価指標に盛り込む動きもでています。組織のリスク対応力や企業の信頼度を高める予防型リスク管理は、攻めのリスク管理ということもできます。
予防型リスク管理に欠かせない2つのアプローチ
一方、予防型リスク管理の重要性はわかっていても、なかなか実践するのは難しいのが現状です。その大きな理由の1つが、予防型リスク管理は顕在化したトラブルだけでなく、トラブルの芽の段階であるヒヤリハット(注2)やそれ以前の日常業務に潜むリスクからの撲滅を目指すものである、という点にあります。
つまり、「いかにそうしたトラブルの芽の情報を恒常的かつ効率的に現場から収集、分析し、真因を特定して対策を打っていくか」がポイントとなりますが、「いったい何から着手していいのか、よくわからない」という声や、具体的にはたとえば次のような課題について多く耳にします。
- トラブルの芽の情報収集は難しい。現場への動機づけができず、ネガティブな情報は積極的に出てこない。
- 情報が集まっても、その場限りの分析や単なる集計に終わってしまい、適切な対策へとうまく導けない。
- PDCAがうまくまわせず、分析や対策の実施が企業・組織としての成長・学習につながる実感が持てない。
- 膨大なデータを分析する手間が大変で、効率的におこなうことができない。
こうした課題の解決には2つの観点が重要です。1つは、予防型リスク管理の実践に向けて優先着手すべきテーマを設定する(見極める)ことです。有効なアプローチとしては「予防型リスク管理ワークショップ」があります。もう1つは、隠れたトラブルの芽を表出化・可視化する仕組みづくりです。この点でいま注目を集めている技術に、富士通研究所が新たに開発した「リスクマイニング」があります。
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