フィールド・イノベーションの取り組み「顧客経験価値」を競争力に
可視化と意識改革がポイント!

嗜好の多様化、消費者の購買意識や行動が変化するなか、顧客の心をいかにつかむか。顧客戦略の次の一手として注目を集めているのが、消費者が商品やサービスを購入・使用する際の経験から得られる「顧客経験価値(Customer Experience)」です。
顧客経験価値を新たな競争力としていかす、富士通のフィールド・イノベーションの取り組みをご紹介いたします。
[連載索引] 「顧客経験価値」を競争力に活用するポイント | 「顧客経験価値を提供するコンシェルジュ端末」 |
消費者の心をつかむ新たなアプローチ「顧客経験価値」

ニュースなどでよく見聞きする「ものが売れない時代」という言葉。その大きな要因のひとつに消費者の嗜好・ライフスタイルの多様化があります。
「この商品は高いけれど欲しい、この商品はいくら安くても購入したくない」など、消費者は嗜好に合った商品に手を伸ばす一方、どんなに機能や低価格を訴求しても嗜好にあわなければ購入を控えてしまいます。
こうした状況に拍車をかけているのが、オンラインショッピングや口コミサイトなど、消費者をめぐる環境の変化と、開発競争の激化によるコモディティ化(注1)の加速です。
「ものが売れない時代」に、いかに消費者の心をつかむか。
企業は、製造から販売まであらゆるビジネスプロセスで顧客を中心に据える、顧客中心経営への転換をはかっています。
顧客戦略を成功に導くうえで不可欠なのがつぎの3つのポイントです。
- 顧客の動向を可視化し顧客を知ること
- 顧客視点に立脚した戦略を実現するための業務プロセスの改善
- 改善された業務プロセスや顧客との関係を効率化するITの活用
気づきにより人の意識が変革され、はじめて業務プロセスをかえることが可能になります。また業務プロセスをかえた際、ITを活用することでさらに効率や効果を高めることができます。
顧客中心経営を企業内に定着させ、PDCAサイクルにより改善し進化していくうえで、とても重要となる上記3つのポイントは、富士通が提唱するフィールド・イノベーションの考え方と重なるものです。
「顧客経験価値」をいかに競争力に変えていくか
店舗全体を視野に入れた品揃えの全体最適化へ
私たちは洋服を購入する際、どのようなポイントで選んでいるのでしょうか。単にトレンドや価格、機能性だけでなく、洋服を選ぶ楽しみ、洋服を所有する優越感、洋服による自己表現、前回購入における感想、さらに店内の雰囲気、サービスや接客など、内面的な要因も購入決定のポイントとなります。
購入時・使用時における「経験」から得られる価値、「顧客経験価値」は商品の付加的魅力として差異化要因となることから、競争優位への次の一手として関心度が高まっています。
百貨店において顧客経験価値にかかわる重要なポイントは、品揃えと接客サービスです。富士通総研では、有名百貨店において品揃え力強化に向けたフィールド・イノベーションの取り組みをお客様企業とともに進めています。こうした仕入れ・発注改革を推進していくなかで新たな課題が見えてきました。
たとえば「仕入発注改革において『何を売るか』を『誰に何を売るか』に発展させることにより、戦略顧客層の顧客経験価値が高まっていく」ということ。この課題は、「お客様に『あの店で買おう』と思っていただける」ディスティネーションストア(注2)につながっていく重要なテーマです。
百貨店におけるディスティネーションストアは、婦人服といったひとつのカテゴリーに関する品揃えの最適化だけでなく、メインとなるお客様がどのフロアに行っても欲しい品揃えがおこなわれているように、百貨店全体を視野に入れた全体最適化が求められます。
「ビジネス情報ナビゲーター」で客層を可視化
百貨店の品揃えにおける全体最適化の実現には、まず「どのお客様が何を購入されたのか」を可視化し、嗜好性を分類していくことが必要です。POSデータは「どの商品が何個売れた」というのはわかりますが、その先を見ることはできません。この問題の解決のために採用されたのが、富士通研究所が開発した「ビジネス情報ナビゲーター」です。
「ビジネス情報ナビゲーター」は、企業内に散らばったことなる情報をキーワードや人名などで関連付けることで統合活用を可能にし、関連情報をさまざまな視点から可視化することができます。これまで気づかなかった情報のつながりを見つけるのに非常に有効です。

「どのお客様が何を購入されたのか」が見えることにより、品揃えの全体最適化はもとより、販売員の意識改革による接客サービスの向上も期待できます。 いくつか期待される効果をあげてみます。
- 婦人靴やバッグの売場において、婦人服のファッショントレンドやコーディネーションを意識した品揃えの実現
- これまでは自分の売場だけを見ていた販売員が、ほかのフロアの売場も意識するようになり、それぞれのお客様が持つ嗜好に合わせた、トータルコーディネーションサービスのご提供が可能
- お客様との会話の質も高くなり、顧客経験価値に訴えるサービスの向上、クロスセル(注3)の拡大へ貢献

可視化による事実を起点に顧客中心の店舗へと生まれ変わっていく。ディスティネーションストアを目指す有名百貨店の挑戦を富士通のフィールド・イノベーションが支えています。
[2008年5月1日 公開]
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