最終回 サプライチェーンマネジメント
流通コンサルティングをテーマにご紹介してきた連載企画の最終回。今回はサプライチェーンマネジメントについて、富士通グループのコンサルタントがご紹介いたします。
サプライチェーン最適化ヘのステップ
サプライチェーンマネジメント(以下、SCM)は、需要状況を的確に捉え、それを起点に流通在庫をコントロールし、販売計画、在庫計画、さらには川上の生産計画までを精緻化させようとするコンセプトであり、多くの企業で取り組まれてきました。SCMの目指す本質的な目標は、企業や組織を跨った全体最適にありますが、それを達成している企業はまだ少ないように感じられます。
では、サプライチェーンを最適化させるために、企業はどのようなステップを踏むべきなのでしょうか。これまでコンサルティング事業本部が手がけてきたお客様の事例を振り返ると、以下3つのステップに分けて考えることができます。
- 情報を活用する環境を整える【情報活用ステップ】
- 必要な情報を集める【情報収集ステップ】
- 継続的に運用する【継続運用・改善ステップ】
【情報活用ステップ】
まず、SCMに取り組むためにどのような情報が必要なのかを明確にすることが必要です。消費財流通を例にとると、小売店頭の販売情報や、物流拠点の在庫情報、生産拠点の製品・仕掛品・原料在庫、原料の入荷予定情報などが該当します。重要なのは、せっかく集まった情報が、十分な仕組みの上で活用されず、眺めるだけのもったいない情報となるのを防ぐことです。そのために、それらを活用する仕組みから整える必要があるのです。
膨大な情報をリアルタイムに集め、一元的に管理し、それらを短時間に解析し、需要予測や所要量を導く、といったITによる支援機能も重要ですが、集まった情報に基づき、適切な意思決定をおこなうためのプロセス設計や、ルールの明確化、意思決定に用いる指標設計などを同時におこなう必要があります。
【情報収集ステップ】
「どのような情報が必要か」を定義したら、次はそれらを実際に収集するステップになります。ここは、ITが最も得意とする領域であり、店頭の販売情報をタイムリーに捉え、本部に送信する店舗システムや、入出荷や発注情報を伝達・蓄積する物流システムが該当します。RFIDを用い、情報を効率的に収集するシステムも実用化されています。
【継続運用・改善ステップ】
最後のステップは、情報収集~分析~意思決定のサイクルを、社内に定着化させ、その場限りではない、継続的な運用のための環境作りになります。「考察や仮説検証の時間を増やすための業務改革」「営業やディストリビューター部門の職務再定義」「在庫回転率、欠品率、即納率など、SCMの効果をモニタリングするための指標設計」といった、IT以外の面での改革が重要になってきます。
このステップでは、組織間や企業間、あるいは担当者間の利害関係が、議論の進展を阻害するケースも想定されるため、その調整役として、第三者的視点に立ち、アドバイスできるコンサルタントがお役に立てるのではないかと考えます。
サプライチェーン最適化事例
こうした3つのステップに沿って、サプライチェーンの最適化を支援させて頂いた事例をご紹介します。
富士通コンサルティング事業本部では、あるメーカー(A社様)の販売チャネルにおけるSCMコンセプトを立案しました。A社様販売チャネルの各店舗に展開されたPOSからの情報を活用し、A社様製品のサプライチェーンを最適化させる試みです。A社製品の在庫削減と需要確保を目標として掲げ、先に述べたステップに従い、情報活用ステップからの着手をご提案し、キーパーソンの理解を得ました。
「川下の需要情報をいかにして捕捉するか」「それらをいかに活用するか」など、これまで流通業のお客様が抱えられていた課題を、A社様のような製造業が抱えられているケースもあります。我々は、流通業に限らず、A社様のような製造業に対してもお手伝いできることがあると考えています。SCMにこれから取り組まれようとしているお客様、あるいはすでに取り組まれているがいまひとつ成果が出ない、こうしたお客様がいらっしゃいましたら、業種を問わず、富士通コンサルティング事業本部にお声がけください。
SCM: Supply Chain Management(サプライ チェーン マネジメントの略。原材料や部品の調達から、製造、流通、販売にいたるプロセス全体において、経営効率化を実現するマネジメント)
POS: Point Of Sales(ポイント オブ セールスの略。販売時点情報管理システム)
2006年11月公開
〔富士通株式会社 コンサルティング事業本部〕
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