第3回 健康ビジネス
流通コンサルティングをテーマに解説する連載企画。今回はサービスについて、フィットネスクラブの事例を通して、富士通グループのコンサルタントがご紹介いたします。
お客様視点でサービスの差別化を図るフィットネスクラブビジネス
「流通コンサルティング」事例紹介も今回で3回目。いままで小売業を中心とした店舗改革や、物流に関する事例をご紹介してきました。今回は、サービスに焦点をあて、いま話題になっている健康分野での事例として、フィットネスクラブをご紹介します。
「健康ブーム」、近年、この言葉をよく耳にします。栄養バランスを整えるためにサプリメントを食べる。フィットネスクラブで汗を流す。健康を維持するのも、なかなか大変です。ブームの背景には、健康で美しくありたい願望に加え、法制度による医療負担の増加、特に、保険給付範囲の見直し、高齢者医療制度の見直しの影響が大きいと考えます。
このように「健康」を取り巻く環境が変わり、フィットネスクラブへのニーズも再び高まってきました。そんな中、関東を中心に店舗展開をおこなわれているフィットネスクラブのA社様は、今後さらに店舗拡大のペースを早められる予定です。この順調に見えるフィットネスクラブのビジネスですが、その反面、競合店舗も増えており、競争を生き残るためには、お客様視点でのサービスの差別化が重要となってきました。
たとえば、店舗の場所(オフィス街、住宅街、ターミナル駅など)によって、客層やピークの時間帯、求められるサービスが異なるため、店舗毎に独自のサービスを提供している場合があります。たとえば住宅街であれば、平日日中はお年寄り、夜は勤め帰りの人、休日は家族連れなど、ニーズに合わせた価格体系やメニューを提供することになります。
そのため、来店されるお客様をよく理解されている現場(店長)の権限が強く、店舗運営が属人的になってしまい、店舗の収益が店長によって左右されることがあります。また、今後さらに店舗を展開するにあたっては、店長の人材不足という問題が発生してきました。
課題解決へ向け、情報化構想立案コンサルティングを実施
そこで、富士通は、A社様のお客様向けのサービスレベルを維持しつつ、ビジネス拡大に向けてのあるべき姿について、経営者、現場(店長など)、情報システム部門の三者の合意形成を行い、三者とも満足できる情報化構想立案コンサルティングを実施しました。
当初、三者の意見調整が難航しましたが、コンサルタントが主にコーチングプロセスを適用し合意形成を行うことにより、実現性の高い構想立案を策定することができました。
コーチングプロセスについては、今回、「傾聴」「質問」「要約・フィードバック」と定義し実施しました。「傾聴」は、顧客の考えを傾聴。「質問」は、コンサルタント独自の視点を提供。「要約・フィードバック」は傾聴・質問で得られた情報をサマリーしフィードバックしました。
このプロセスを実施するにあたり、事前にサーチサービスを活用し情報を収集。収集した情報を分析するにあたっては、3C、4P、AIDMAなどのツールを活用しました。さらにJQAを意識した気付きの提供として、現場の行動に対して、企業成熟度レベル向上に向けた気付きを与えることを実施。その結果、A社様保有の業務ノウハウを活用し、A社様が主体性をもった施策を策定できました。
このような情報化構想立案においては、現場、経営者および情報システム部門との合意形成が重要であり、お客様任せにするわけにはいきません。三者の合意形成が必要とされるお客様がいらっしゃいましたら、富士通コンサルティング事業本部までぜひお声をおかけください。
3C: Customer(カスタマー:顧客)、Competitor(コンペティター:競合)、Company(カンパニー:自社)の略。市場と競合の分析から目標達成のために注力すべきポイントなどを見つけ出し、自社の戦略に活かす分析をするフレームワークのこと。
4P: Product(製品戦略)、Price(価格戦略)、Place(流通戦略)、Promotion(販売戦略)の略。マーケティングミックスのために用いられるマーケティング・ツールを大きく4つに分けたもの。
AIDMA: Attention(注意)、Interest(興味、関心)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動):(各ワードの頭文字を取って作ったワード。マーケティングにおいて消費行動のプロセスに関する仮説のこと)
JQA: Japan Quality Award (ジャパン クオリティ アワード:日本経営品質賞のこと。国際的に競争力のある企業体質への転換のため、顧客視点から自己革新をおこない新しい価値を創出し続けることのできる企業の表彰を目的とする財団。)
2006年8月公開
〔富士通株式会社 コンサルティング事業本部 シニアマネージングコンサルタント 渡辺光好〕
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