第2回 受注業務は物流で
流通コンサルティングをテーマに解説する連載企画。今回は変革する物流事業領域について、富士通グループのコンサルタントがご紹介いたします。
企業を取り巻く環境の変化
企業にとって、「販売管理費削減」や「物流コスト削減」などといった、いわゆる「コスト削減」観点と、「得意先サービス向上」や「サービスメニューの確立」などの「顧客サービス」の観点は、相変わらず相反する二大テーマとして、その実現に向け数年前から継続している、企業の大きな方向であると言えます。
近年の企業を取り巻く環境を見ますと、高効率化、高生産性、高品質化への対応が必要なだけでなく、その対応において、以前に比較してさらなるスピードアップが要求されています。
この中で、物流としての課題は、「物」を動かすプロセスにいかに早く情報を反映させ、高度化・適正化を図れるかです。ひとつの例が、受注との結合です。
「受注」と「物流」の連携、そしてアウトソーシング
受注処理はデジタル化が一般的になり、この結果、高効率化の追求や時間の制約、品質確保などの条件が従来にも増して厳しくなってきています。従って企業は、データ受信後いち早く物流部門に情報を渡す処理をおこない、情報を受け取った物流部門は限られた時間の中で必要な品質を維持しながら、効率的に作業を行う必要があるわけです。
このように、ビジネス上の要の処理である「受注」と、要求に合った適切な処理としての「物流」は、すでにその垣根が無く、いかにして連携(というよりは融合)するかが企業にとっての大きな課題のひとつになっています。物流では、『入口を制するものは、出口を制する』と言われますが、まさにぴったりの表現ではないでしょうか。
この連携の中で、一般企業にとって「物流」を専門家に委託する場合、「物流・ロジスティクス領域において、どのビジネスプロセスまでをアウトソースするか」は、成否を分ける重要な戦略の一つとなります。
中堅物流A社様事例:受注代行業務を含めた「中間流通の代行業」へ
中堅物流事業者のA社様は、主に庫内・配送業務を請け負う物流サービスプロバイダーとして事業展開してきました。しかし、競合他社の台頭など、事業環境の大きな変化を受け、従来の庫内・配送業務の受託事業に加え、現在、受注業務もその受託事業として事業展開をしています。これは、中堅物流事業者として生き残るためには、単なる庫内業務、配送業務だけではなく、受注代行業務を含めた「中間流通の代行業」を事業化することが「新規荷主獲得による売上拡大」を目指す上で得策と判断したからです。
もちろんA社様の受注代行事業が成功した大きな要因が、A社様のお客様の抱えている課題を解決することにあったのは言うまでもありません。その内容とは、商流と物流をセットで受託することでお客様の受注・出荷指示ビジネスプロセスのシームレス化を図ることができ、結果として「注文受付から商品発送までの時間的ロスの20~30%短縮化」を達成したことです。
物流事業領域の高付加価値化から顧客満足度向上へ
今後、中堅物流事業者が生き残っていけるかどうかは、単なる庫内業務・配送業務受託から脱皮し、「荷主企業や消費者へのサービス向上」という視野を広げた事業展開への移行を、いかに実行できるかにかかっています。
一方、このように、高付加価値をもつ物流事業者が増加することは、荷主企業のパートナー選択肢が増えることを意味します。荷主企業は、物流事業者を単なる「コスト」面だけではなく、「品質」「サービス」「情報提供力」「企画提案力」、そして「CSR」など、多面的な指標で、より厳正に評価し選定することになるでしょう。
さらに、物流事業領域の競争が高度化し激化することにより、荷主企業や消費者は、物流品質やサービスが向上し、その恩恵により企業本来のビジネス向上や消費者の満足度向上に繋がる結果を生み出せることになるのです。
CSR: Corporate Social Responsibility(コーポレート ソーシャル レスポンシビリティの略。企業の社会的責任)
2006年7月公開
〔富士通株式会社 コンサルティング事業本部 シニアマネージングコンサルタント 植村邦夫〕
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