食品専門商社 基幹システム再構築企画コンサルティング事例
基幹システムを刷新するにあたり、経営層と現場の意見の違いなどのさまざまな問題点を見える化し、課題を解決に導いたコンサルティング事例について、富士通グループのコンサルタントがご紹介いたします。
基幹システムの再構築するにあたっての課題
食品原料、加工食品を取り扱っている食品専門商社A社様では、基幹システムの再構築に際して、
- 現行システム導入から長期間経過しビジネス環境も変化しているため、手作業による事務処理が定常化しており、現場事務員の負担が増している
- トップの思いはERP(注1)を導入することで、業務の標準化および業務効率の向上を期待しているが、情報システム部門では今の業務にどこまで適用できるのか不安視している
- システム再構築の取り組みを推進する上での社内要員が不足している
といった課題を抱えていました。
そこで、富士通総研では次期システムへの要求を明確化することを目的とした、要求機能定義コンサルティングを提供しました。
以下にポイントを示します。
要求機能定義コンサルティングのポイント
1. 情報化の目的/方針の明確化(トップダウン)
企業の経営課題、事業の方向性、その際に各部門に何を期待するのか、次期システムへの要望などを経営トップ、部門長へのインタビューを通じて明らかにし、「次期システムビジョン」として整理しました。
2. 現状業務課題認識(ボトムアップ)
現状業務の流れ、現場の問題意識を現場担当者へのインタビューを通じて抽出しました。その際に、トップの思いである次期システムビジョンの内容、次期システムで実現可能なことを伝え、トップの思いを実現するのに無理がないか、現場での確認を並行しておこないました。
3. システム要求機能定義(トップとボトムの融合)
1. と2. の結果を基に、経営/業務の観点から、次期システムに要求する機能を検討していきました。その際に重要なことは、トップ要求とボトム要求のバランスです。現場要求を優先してしまうと、単に個々の現行業務を改善する仕組みとなってしまい、トップの要求に応えられなくなる恐れがあります。
今回のプロジェクトにおいても、トップの要求事項として、取引管理の精度向上と予実管理の迅速化がありました。これらを実現するには、契約情報、予算情報がシステム内に登録され、取引発生毎に契約条件通りの取引データとなっているかチェックし、実績の差異を逐次分析できる仕組みが必要となります。
そのためには取引発生都度、システムへの計上入力が必要ですが、従来の運用では、システムへの仕入・売上計上といった入力処理は締め日直前にまとめておこなうことが通常でした。都度入力に切り替えると、現場負荷が増加することも考えられます。
新システムを導入することで、今まで実績管理をおこなう際に現行システムから転記し、管理資料を作成していた作業が自動化されるなど、メリットも訴求し、現場の理解を進めていくことが必要となります。
4. 要求定義フェーズの進め方、成果物、留意点を共有
決められた期間内に要求定義フェーズをスムーズに進め、開発フェーズへの必要十分なアウトプットが整備できるよう、各会議体の進め方、成果物、および作業上のポイントなどを事務局と共有しながら進め、お客様の要員不足を支える働きをおこないました。
今回のコンサルティングにより、お客様の情報システム部門へのサポートもおこないながら、次期システムに対する要求機能を明確化したことで、お客様からも高評価を頂き、次工程である開発フェーズにおけるPM(注2)支援コンサルティングの要請も頂きました。
今後は引き続きPM支援の他、内部統制対応など、派生するテーマの対応をおこなう予定です。
ERPに限らず、システム見直しの際に、経営・業務の観点からシステムに何を要求するのかを明確にすることは、その後の検討の筋道をブレないようにする上でも非常に重要です。
(注1)
ERP : Enterprise Resource Planning
エンタープライズ リソース プラニングの略。企業全体を経営資源の有効活用の点から統合的に管理をし、経営の効率化を実現するための手法・概念のこと。これらを実現するシステムをERPパッケージという。
(注2)
PM : Project Management
プロジェクトマネージャーの略。プロジェクト全体の指揮管理をおこなう責任者のこと。
2008年4月21日 公開
〔株式会社富士通総研 マネジングコンサルタント 安室洋明〕
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