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操作は限りなくやさしく、性能は限りなく高性能に
富士通が実現するユニバーサルデザイン携帯

写真左から、中条薫プロジェクト課長、片山浩、西池理香

消費者ニーズが多様化・個性化へと向かう中、ニーズを満たした商品開発が行なわれつつも、実際に売れ筋商品へと結びついた例は数少ない。そんななか、富士通がNTTドコモ様向けに製造するユニバーサルデザイン携帯「らくらくホン」 が2007年5月に累計販売台数1,000万台を突破するというヒットを記録した。お客様のニーズにぴたりと照準があった製品づくり、その成功の秘訣はどこにあるのだろうか。モバイルフォン事業本部 モバイルフォン事業部 方式部の中条薫プロジェクト課長、片山浩、西池理香に話を聞いた。


通話のしやすさとは何か これが開発への第一歩
良い部品だけ搭載してもトータルバランスは良くなりません

中条薫プロジェクト課長

富士通は2001年に「初代」らくらくホンを投入、4年後の2005年5月には累計販売台数が500万台を突破した。多機能が商品価値を生む若者ケータイとは一線を画したケータイ。しかし、限定した機能のひとつひとつが「しんせつ」「かんたん」「見やすい」「あんしん」という商品コンセプトの4大テーマに則った、他にはない秀逸なものとなっている。

「お客様ニーズと商品コンセプトが一致し、かつ、分かり易く提供できた、ということがヒットを生んだ最大の要因だと思います。」
と中条は分析する。

「携帯電話という、限られた大きさの装置にどういった機能を搭載するのか、いわば機能の取捨選択は商品の性格を大きく左右します。ターゲットとするお客様にとって何を優先すべきか、ということは商品設計の基本ですから、この基本の軸足がぶれないようにすることが重要なのです。」


らくらくホンの機能強化の1つは、通話機能のレベルの高さにある。「通話」という原点をもう一度きちんと見直してみよう、という発想が、高性能なマイクとセンサーの搭載につながったと語るのは片山だ。

片山浩

「聞く、話すという電話の基本、その通話のしやすさとは本当はどういうことなのかを徹底的に考えました。携帯電話の利点はどこでも通話できるということですが、それはまた、さまざまな環境が存在するということでもあるわけですから、通話環境に応じて自動的に音声を調整する機能を搭載すれば、どこにいても一定レベルの聞きやすさ、話しやすさが保てると考えたわけです。」

この8月に発売された『らくらくホンIV』に搭載された「スーパーはっきりボイス」と「はっきりマイク」は周囲の騒音レベルや通話相手の声のレベルを自動調整したり、ノイズを抑えて音声をクリアにしたりすることで快適な通話環境を可能にしている。
そして、通話機能に代表される徹底的にこだわり抜いた各種の機能は、お客様の声を徹底的に反映した結果なのだという。

「コアターゲットとする50代~70代のモニターの意見を集約分析するのはもちろん、盲学校やろう学校にもモニタリングをお願いし、技術開発に反映させています。その結果、音声認識技術や読み上げ機能を搭載した『らくらくホン』は、視覚障がいを持った方々にも広く使われるようになっています。」
と西池はユニバーサル・デザインへのこだわりを語る。

また、お客様への心配りの設計という点でも独自の機能があると片山は言う。
「カメラを人の目にする、というコンセプトで拡大鏡の機能も搭載しています。ケータイで、読みにくい文字を自由に倍率調整しながら見ることができます。メガネを忘れたときでもケータイをちょっと取り出して使える便利さから利用者には好評です。」

こういった商品開発における真摯な姿勢は、顧客満足度の高さという結果に如実に表れている。2006年に発売を開始したFOMAらくらくホンIII(F882iES)に関しては、93.2%のユーザーが「満足」「ある程度満足」と答えている。後継機種になるほど満足度が上昇しているのも特徴で、機種が新しくなっても操作性が変わらない点が根強いファン層を持つ要因と言えそうだ。

高い技術を難しい機能として入れるのではなく
お客様に使いやすい機能に変換して実装することを目指しています

西池理香

開発した技術を実際に商品に搭載するまでには、幾度も実証実験を重ねるプロセスが必要だ。通話環境の雑音をできるだけ取り除く「ノイズキャンセラー」の機能開発にたずさわった西池は、工事現場や開かずの踏み切り、高速道路といった騒音環境の中でデータ採取を繰り返し、評価をしていったという。

「部内での評価環境が整っていなかったため、あちこちへ出かけノイズ評価をしました。当時は周りの人たちに不審な目でみられながら、汗だくでデータを採取していった思い出があります。苦労といえば苦労ですが、その結実がノイズキャンセラーという画期的な機能として、多くの方に利用されていると思うと心底うれしいです。」

らくらくホンは、機種が新しくなる度に従来機能を高め、新機能を追加することを行っているが、その技術のベースには研究所での基礎研究があるという。

「らくらくホンIVに搭載されたカメラ機能のひとつ、「歪み補正」にも研究所の画像認識技術(注1)が活かされています。これは、手書きメモなどを斜めから撮っても、歪み具合を自動検出して平らに補正するという、優れた機能です。研究所とは週に一度のペースでミーティングを行い、情報交換をしています。研究所の高い技術を応用して、お客様がいかに簡単に使えるように商品化するかが私たちの役目。この技術の連係プレーが高性能商品をうみだす源なのだと自負しています。」
と片山は商品開発に対する自信をのぞかせる。

手のひらサイズに凝縮された技術の粋。携帯電話はいわば、開発メーカーにおけるトータルな技術力の真価があらわれる商品である。
「ひとつひとつの技術を取捨選択しどうやって集約するかということもまた技術価値です。品質に対する愚直なまでのまじめさやこだわり、これは富士通の根幹をなす姿勢だと思っています。私が富士通の技術開発に関して最も誇りを感じるのはその点なのです。」
と中条は語る。

現場力とマーケティング力も「らくらくホン」を後押し。
さらにやさしいユニバーサルデザイン携帯へと進化する

コンセプトがしっかりしている、つまり商品の顔がはっきりしているものは、現場の販売員もお客様へ奨めやすい。この点もらくらくホンが売れている要因である。

「売り場の方々の生の声を聞くのも商品開発にとって大いに参考になっています。」
と中条はいう。中条らは全国の販売店に出向き、販売員の意見、お客様の声を直接伺い、また直接、商品説明をするということを心がけている。

「技術者が現場に出かけていく、ということはこれからますます重要になるでしょう。マーケットインの発想が必要だからです。自分たちが動いてみると、やはりそこには発見があります。技術に対する技術者の意識レベルと消費者との意識レベルにはどうしてもズレがあることが多いですから。お客様の生の声を聞いて意識を変えていくことは、開発していく側にとって大切なことだと思っています。」

母の日、父の日、敬老の日、といった記念日にらくらくホンをプレゼントするという販売戦略も功を奏し順調に販売台数を伸ばしている。
しかし、製品サイクルが短い携帯電話は開発期間も短く競争も激化する一方で、数年先のことすら予測がつかないのが現状だ。3年から5年先の携帯電話像を描くためには、むしろプロダクトアウトの発想が必要になる場合もあるだろう。

「ここ3年ぐらいで、“これは今までになかった機能だ”というオリジナルな技術を開発していきたいという思いを持っています。富士通ならその環境がありますから。」
と、西池は次世代のケータイ技術の開発へ意欲をみせる。

そして、三人は口をそろえて「使っていただければ必ず良さがわかる」という。そして、使い勝手と要望をぜひ聞かせてほしいと、次の開発へ向けた意気込みをのぞかせた。
「かんたん」だけど、実はすごい機能が満載された『らくらくホン』。本当の意味でのユニバーサルデザインの思想がここにあり、その商品開発の姿勢はまさに「しんせつ」「かんたん」「見やすい」「あんしん」という商品コンセプトを徹底的に追求したものと言えるであろう。

(注1)デジタルカメラ向け文書画像の高速歪み補正技術を開発

2007年9月25日 公開


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