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フィールド・イノベータが現場で指導
一人ひとりの改革意欲を高め、
間接業務における自律的な改善を促す 富士通化成株式会社

プラスチックおよびマグネシウム成形品の開発・製造をおこなう富士通化成では、生産革新活動の一環として、間接業務の効率化に着手。フィールド・イノベータ注1(以下、FIer:エフアイヤー)を導入し、作業工数の調査の仕方や改善の進め方などの指導を受け、社内のプロジェクトチームによる改革に乗り出しました。FIerが現場に入り、各部門に結成したチームと一緒に、個人の仕事を見直し、一人ひとりの改革意欲を高めていくことで、自ら継続して改善する体制を定着させることができました。

高いマグネシウム成形技術を持ちFMV BIBLOなどの筐体を開発・製造

富士通化成は、1953年、富士通の交換機用部品製造を主な事業とするプラスチック成形メーカーとして誕生しました。1972年に富士通の100%子会社となり、現社名に変更。50年以上にわたり、プラスチックの成形加工技術を基盤に個性化と高付加価値化を目指した事業展開をおこなってきました。

現在は、製品の90%を富士通製パソコンの筐体が占めています。なかでも同社の特色は、マグネシウム合金の成形です。近年、携帯型筐体では、軽量・コンパクトが重要な要素となり、プラスチックの代替品として金属のマグネシウムが脚光を集めています。マグネシウムは地球上に豊富に存在する資源であり、軽量で強度が高く、優れた電磁波シールド効果やリサイクルが容易であるなど、数々の特徴を持っています。同社では、長年培ってきたプラスチック成形技術を活かし、マグネシウム合金においても日本で有数の技術を有しています。同社のマグネシウム合金による筐体は、国内で生産される高品質な富士通「FMV BIBLOシリーズ」などに使われ、強度と軽量化を両立させるとともに、高級感ある外装を形作る大きな役割を果たしています。

製造現場の業務改善を実現し、間接業務の効率化に着手

代表取締役社長 磯前 杉夫

富士通では、国内の製造拠点において、生産ライン・現場改善により、生産性の向上や競争力を強化し、新たな価値創造につなげるための生産革新活動を推進しています。さらに、生産現場の改善だけでなく、間接業務の効率化への取り組みも同時に進めています。

「富士通化成においても、5年ほど前からTPS(トヨタ生産方式)導入により、製造現場の業務改善を実現してきました。しかし、一方で、生産管理、人事総務、経理購買などの間接業務の効率化が課題となっていました。間接業務を効率化したいという意識はあったのですが、実際にどうしたらよいのかわかりませんでした。間接業務に手をつけるということに対して、アレルギーのようなものもありました」と、代表取締役社長・磯前杉夫は語ります。そこで、第三者の視点で専門的なアドバイスを受け、改善ポイントをいち早く把握するためにFIerの活用を考えました。FIerは、お客様と同じ目線に立って、お客様の現場での課題解決に取り組む業務プロセス改善の専門家です。

個人の暗黙知やノウハウの依存度が高く、効率化に課題

常務取締役 板東 陽一

同社で最初に着手しようとしたのは、TPSによって改善が進んでいた製造現場に関わる生産管理と製造の2部門の間接業務の改善でした。

「当社では間接業務において、過去からの個人の暗黙知に依存している部分が多くあり、仕事が属人的になっていました。社員同士がお互いに仕事を把握することができず、効率化をはかるのが難しかったのです」と、常務取締役・板東陽一は指摘します。簡単な例で言えば、ある担当者がエクセルのマクロを使って効率的に業務をおこなえる仕組みを作っても、それが共有化されていないことがありました。

そこで、FIerが現場に徹底的に入り込み、作業工数調査のやり方などを指導し、全体動向を把握したうえで、フローチャートで業務の流れを見える化。各部門で結成したチームの定例会で、問題点の報告と改善策の検討を重ねました。その結果、社員同士が組織の壁を超え、お互いの仕事を理解し合えるようになり、自分たちで継続的に改善する体制が定着していきました。プロジェクトのなかでFIerが心がけていたのは、できるだけサイクルを短くし、早く結果を出して、気づきや改善につなげていくことです。一つひとつの成功体験を積み重ねることで、間接業務の効率化は難しくはない、自分たちもやってみればできるのだという気運を高めていくことに注力しました。

2部門から全社の改革へ、そしてビジネスプロセス改善へ

執行役員 生産革新推進室長 杉山 和彦
業務改革推進室長代理 大貫 克浩

「社内の人間だけでは、わかっていても、言っても無駄だろうとか、自分でできない理由を考えてしまうので、なかなか改善が進められないところがあります。今回はFIerに現場に入っていただき、第三者の目で滝を裏から見るようにして、業務の表側には見えてこない内面の核心点など、我々が気づかないところを指摘していただき、指導していただけたのが一番良かったと思っています」と、現場と間接部門の生産革新活動を統括する生産革新推進室長の杉山和彦は振り返ります。

「FIerから改善の手法をはじめ、話の引き出し方など多くのことを学べました。これからは、それらの経験を活かして、自分たちで継続して改善を進めていきたいと考えています」と業務改革推進室長代理の大貫克浩。FIerとともに改善活動を進めていくと、改革の気運が醸成され、意欲が高まっていきました。あわせて、工数削減という目に見える効果も現われてきたことから、トップの英断により、2部門31名での改革から、18部門130名という全社を巻き込んだ改革に着手。現在、18部門を5つのグループに分け、責任者をおき、改革を進めている最中です。

個人の仕事のやり方を見直し、各部門の改善を進め、今後は部門間にまたがり、入り組んでいるプロセスを整理し、ビジネスプロセス自体の見直しにつなげていきたい。さらにその先はお客様を含めたビジネスプロセスの改善へと発展させ、お客様に成果を還元していきたいと、次への取り組みにも意欲的です。

【富士通化成株式会社 概要】

設立 1953年4月1日
資本金 1億円
従業員数 219名(2009年5月31日現在)
URL http://jp.fujitsu.com/group/fjk/

富士通化成株式会社にFIerとして関わっての感想

担当FIer 花岡 正美、葛馬 弘史、中井 一、渡邊 健二

富士通化成は、製造現場で改革を実現した経験があり、もともと経営陣も現場も改善の下地があったため、私たちは恵まれていたと思います。私たちも現場と一体化したいと思い、現場に席を置いて常駐し、社員と同じ作業服を着て、食事や掃除、避難訓練も一緒にしました。普段の雑談の中でも改善のヒントが隠されていますし、何より現場との「ラポール注2」をつくりあげることができるからです。

今回は製造現場以外の全部門が対象で活動の範囲が広く、FIerがそれら全ての分野の専門家なわけではありませんでしたので、自分たちの業務経験に頼るだけでなく、現場の改善能力を引き出すことにも注力しました。その意味では、「こうしたらどうか」というアイデアや解決策を、現場が自ら活発に見出すようになったときは、とてもうれしかったです。 新たなお客様のところでも、富士通化成での成功体験を活かして活動していきたいと思います。

注記

(注1) フィールド・イノベータとは :
お客様と一体になって、ビジネスの課題を「見える化」し、ITだけでなく、仕事のやり方やスキル、そして、業務プロセスを含めて改革活動を推進することができる人。
(注2) ラポール :
心理学の言葉で、お互いを信頼し合い、安心して自由に振る舞ったり感情の交流を行える関係が成立している状態を言う。

[2009年11月2日 公開]

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