パソコンの利用と健康
- パソコン利用と疲労
- パソコンを使うときの姿勢
- パソコンを使うときの周囲の明るさ
- パソコンと空調
近年、多くの人が家庭や職場、学校でパソコンを使うようになりました。
パソコンを使うことで便利になったものの、精神的あるいは身体的に疲れているひとが多いという指摘もあります(注)。 このような疲労は、パソコンを使うときの姿勢や、照明、空調をはじめとする周辺環境も原因になっていると考えられています。 パソコンを健康的に使い続けるためには、適切な姿勢や周辺環境について知っておくことが必要です。
(注) 厚生労働省が平成15年に実施した実態調査によると、パソコンを使って仕事をしている人のうち、精神的疲労を感じていると答えた人が34.8%、身体的疲労を感じている人が78.0%もいます。
参考資料:
- 「パソコン利用のアクションチェックポイント」 (独)産業医学総合研究所(2004年)
- 「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」 厚生労働省(2002年)
- 「ノートパソコン利用の人間工学ガイドライン」 日本人間工学会(1998年)
- 「平成15年技術革新と労働に関する実態調査結果の概況」 厚生労働省(2004年)
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1. パソコンの利用と疲労
疲労の原因
パソコンを使って起こる疲労の原因には、次のようなものが考えられます。
- 長い時間、椅子に座ったままで姿勢が拘束されることによる 首、肩、腕、背中、腰などの疲労
- 使う人が高度な判断を連続的に行うことや、続けて単調な入力作業を行いがちであることによる精神的な疲労
- キーボード作業を中心に頻繁に手指や腕を使うことによる手や腕の疲労
- ディスプレイに表示された文字を見続けること、不適切な明るさやディスプレイへの映り込み、極端に明るいものが見えることによる目の疲労
疲労を軽くするためには
疲労は、パソコンを続けて使う時間や、置く場所などを工夫することで、軽くすることができます。 厚生労働省から出された「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」を基に、富士通では、次のような提案をしています。
適度な休憩
同じ姿勢を長く続けないため、また、ディスプレイの文字を長時間見続けないようにするため、適度な休息をとるようにしてください
- 休憩の目安として、一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業時間までの間に10分~15分の作業休止時間を設ける(リラックスして、遠くの景色を眺める、作業中に使用しなかった身体の各部を動かすなどの運動を行うとよい)
- 一連続作業時間内において1~2回程度の小休止(1~2分程度の作業休止)を、時間を定めないで、作業する人が自由にとれるようにする
- パソコンを使って連続して画面からの読み取りやキー操作をする人は、できるだけ画面を見つめる時間やキー操作をする時間が短くなるようにする(パソコンの操作以外の作業を組み込む、他の作業とのローテーションを行うなどの工夫をする)
- 疲れを溜めないため個々人の特性に合わせて、無理のない作業量となるよう配慮する
ストレッチ
- 長時間パソコンを使う前や、使った後には、体操、ストレッチなど軽い運動等を行う
- 休憩中は椅子から離れ、背筋や腕を伸ばす、首を回すなどのストレッチを行う
- ストレッチ運動では、勢いをつけずにゆっくり動かすようにし、痛みを伴うほどの動きをしない
- 不自然な姿勢でのストレッチ運動を行わない
- 短時間しか休めないときは、キーボードやマウスから手を離し、身体の両脇にたらして手を休める
パソコンの手入れや周囲の整頓
パソコンやその周辺が手垢やホコリなどで汚れていると、マウスが動きにくくなり、ディスプレイが見にくくなるなどして、疲れる原因になります。 また、疲れにくい作業姿勢がとれるように、パソコンや机の周りを整理整頓しておくことを心がけましょう。
- 作業場所やパソコンの清掃を行い、常に清潔を心がける
- 特にディスプレイは、静電気でホコリが付着しやすいので、きれいに拭く
- 定期的にマウスの清掃を行い、トラックボールが動きやすいようにしておく
- パソコンの周辺や机の下を整理整頓して、適切な作業姿勢がとれるようにする
疲労や痛みがとれないときは
- 休憩しても疲労がとれないとき、激しい痛みを感じるときなどは、すぐにパソコンを使うのをやめて、すみやかに医師に相談してください。
- 症状が軽いうちならすぐに回復するものでも、進行すると回復に長い時間を要することもありますので気をつけましょう。
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2. パソコンを使うときの姿勢
パソコンを使うときには、適切な姿勢で操作できるように机や椅子を調整し、ディスプレイやキーボードの置き方を工夫することがポイントです。

机や椅子と姿勢
机、椅子は、身体に合ったものを選びましょう。また、身体に合わせて調節できるものを選びましょう。
机や椅子の選び方
- 椅子は、座面の高さを自分の体格に合わせて容易に調節でき(通常、床から37~43cmの範囲)、背もたれを持つものが望ましい
- 机に腕を乗せることができない場合には、適当な長さの肘掛けを持つ椅子を使う
- 机は、書類、キーボード、マウス、書見台、その他パソコンを使って作業をするときに必要なものが適切に配置できる広さを持ち、床からの高さが概ね65~70cmがよい
- 高さを調整できる机を選ぶ場合は、60~72cmの範囲で調節できるものがよい
机や椅子を調節する際の順番
- 机の高さが調節できる場合は、まず椅子を身体に合わせて調節し、次に、机を適切な高さに調節する
- 机の高さが調節できない場合は、まず、机が適切な高さになるように椅子を調節し、必要に応じて足台などで椅子の高さが身体に合うように調節する
机や椅子の調節方法
- 椅子に深く腰かけて、足の裏側全体が床または足台に接するようにする
- 椅子と大腿部との間には手指が押し入る程度のゆとりがあること
- 机は、作業する姿勢で上腕を垂直にして、肘を90°程度に曲げたとき、キーボードに自然に手指が届く高さにする
ディスプレイと姿勢
ディスプレイは操作する人にとって使いやすい位置、角度、明るさに調整しましょう。
- 表示面の上端が目の位置より下になるように高さを調節し、表示面と目の距離を40cm以上確保する
- 表示面、キーボード、書類と目までの距離(視距離)が同じ程度で、適切な視野範囲に収まるようにする
- 表示する文字は、あまり小さくならないよう、画面に表示された文字の高さがほぼ3mm以上を目安にする(見え方には個人差があるので、無理なく見える大きさで表示する)
キーボードと姿勢
キーボードを使う入力作業は、大きな力を必要としませんが、細かくてすばやい動きが続きます。 細かい動きを行う筋肉は、疲労しやすいといわれています。また、肘から先に集中した動きが多く他の部分の運動をほとんど伴わないため、長い時間、同じ姿勢でいることになります。 その結果、部分的に血行が悪くなり、首、肩、腰などに疲労や痛みを感じることがあります。
- 手首は前腕(肘から手首までの部分)に対して、真っ直ぐ伸ばすようにする
- キーボードは身体の正面に置き、身体がねじれないようにする
- 書類を見ながらキーボード操作をするときは、書見台を使う
- キーボードを打っているときは手のひらを机やパームレスト(注)に強く押しつけないようにして、パームレストが手首を圧迫しないようにする
- キーボードのキーは力を入れて叩くのでなく、押す感じで入力する
- 「ctrl」「shift」キーと他のキーを片手で同時に押すようなとき、指を無理に広げると、負担になる場合がある。特に手が小さい人は、両手の指を使うような習慣をつけるとよい

(注)パームレストとは、手首を水平に保つために手のひらや手首を乗せるためのパッドやクッションなどのこと
ノートパソコンを使う場合
ノートパソコンは、外付け周辺機器が多くなりがちです。 また、ディスプレイとキーボードが一体化されているので、姿勢が制限されやすく、また、視距離が短くなりがちです。 このような特徴をよく理解し、次のような点に注意して使用するように心がけましょう。
- 操作するときには、周辺機器を置くスペースを十分に確保する
- 長時間同じ姿勢を続けないため、前後・左右にノートパソコンを動かせる程度の余裕を持たせる
- キーボードが好みの角度になるように調節し(脚がない場合は本などを使用するとよい)、キーボードの手前に手首を休ませるパームレスト、アームレストの空間を確保する
- 姿勢を正し、ディスプレイと目の距離を40cm以上離すように心がける
- 必要に応じて、マウスや、外付けキーボードを接続して利用する
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3. パソコンを使うときの周囲の明るさ
望ましい明るさ
パソコンを使うときの周囲の明るさは、新聞の文字が無理なく読める程度の明るさを目安にしてください。周囲に極端に明るい場所や暗い場所があると、知らず知らずのうちに目が疲れてきますので、注意が必要です。特に窓面は明るくなることが多いので、ブラインドやカーテンなどで調節するようにしましょう。また、手元を照らす補助照明を使う場合には、ディスプレイ面を照らすと画面に表示されているものが見えにくくなりますので、注意が必要です。

- 垂直面の照度は500ルクス以下(新聞の文字が楽に読める程度で、明るくなりすぎないようにする)
- キーボードの照度は300ルクス以上(新聞の文字が楽に読める程度で、暗くなりすぎないようにする)
- 視野に入る場所の明暗の差を小さくし、特に光っているものが視野に入らないようにする
- 窓が周囲に比べてとても明るく感じる場合にはブラインド、カーテンなどを設ける
まぶしさやディスプレイへの映り込み
視野の中に光って見えるもの(天井照明、窓、光が反射しやすい機器や家具など周囲と比較して明るいもの)がある場合や、ディスプレイに強い光が映り込む場合には、知らず知らずのうちに疲労感・不快感が増加することがあります。
直接目に入る光や画面への映り込みを減少させるためには、パソコンを使う場所を工夫することが重要です。
- 天井照明、窓、反射しやすい家具などがディスプレイに映り込まないように、ディスプレイを置く場所を工夫する
- 窓にはカーテンやブラインドをつけ、外光が直接目に入る、あるいはディスプレイに映り込むのを防ぐ

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4. パソコンと空調
空調とドライアイ
最近の研究で、空調によるドライアイが、作業での疲労原因の1つであることが指摘されています。ドライアイとは、涙の減少や質的な変化により、目が炎症を起こすことです。空気が乾燥しているときや、空調の吹出口から出る風にさらされると、眼が乾いてドライアイや眼の疲れの原因になります。 空気がホコリやタバコの煙などで汚れていると、弱った目がさらに刺激されて、症状がいっそう悪くなる恐れがあります。
空調と身体の痛みやこり
空調の吹出口から出てくる冷たい風が直接身体に当たると、血液の循環が悪くなり、首、肩、腰などの痛みやこりが起こりやすくなります。
空調との付き合い方
パソコンを使う場合は、空気の乾燥や、空調機から吹いてくる風、部屋の冷やしすぎに注意が必要です。暑さや寒さは人によって感じ方が違います。適度に調節して、健康を損なわないようにしましょう。
- 相対湿度は40~70パーセントになるようにし、乾燥しているときには加湿器を使う
- 空調機から吹いてくる冷たい風が身体に当たらないように風の向きや強さをコントロールする(身体に当たる気流は、0.1m/s以下)
- 夏は部屋の温度を下げすぎないようにする(室内の温度は、夏は24~27度、冬は20~23度を目安とする)
- 定期的に換気し、また、分煙を徹底して、空気が汚れないようにする
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