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第1章 「アーカイブス」

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地球環境と現代文明のサステナビリティに関する認識については1970年代からの30年あまりで、またエコデザインの理論と手法に関しては1990年代後半からの約10年間で、おおよそその枠組みが成立したといえる。

その概要についていくつかの代表的な文献を手がかりに見てみたい。

まず、1960年台中頃、バックミンスター・フラーが提示した「宇宙船『地球』号」のモデルは、1972年に出されたローマ・クラブの「成長の限界」によって理論的、実証的に裏付けられた形で、有限な地球環境のイメージを強固なものとした。こうして1970年代に提示された成長、拡大、開発、競争といった現代文明の原理そのものに対する疑義に対し、1980年代後半に、何をしてはいけないか、を明快に示したのが、スウェーデンのカール=ヘンリク・ロベール率いる「ナチュラル・ステップ」の4つのシステム条件である。

一方、「生きのびるためのデザイン」でデザイナーの社会的責任について厳しく問うたヴィクター・パパネックは1970年台初め、すでに商業主義批判から環境問題、南北問題、社会的公正さやバイオミミクリーに至るまで、現在のエコデザイン、ユニバーサルデザイン、サステナブルデザインの全領域に亘ってデザインの視界を広げようとしていた。

いわゆる、地球環境に配慮した製品設計の手法が確立したのは、1997年UNEP(国連環境計画)の支援でまとめられたマニュアル「エコデザイン」によってである。その考え方は1999年に山本良一の「戦略環境経営エコデザイン」で最新の理論や豊富な事例とともに補強され、エコデザイン学会連合、エコデザイン国際会議、エコプロダクツ展など、現在も続くわが国におけるエコデザイン活動の基点を作った。2004年にはIDSA(米国インダストリアルデザイナー協会)のフィリップ・ホワイト等によって、デザイナーがエコロジカルデザインを学ぶためのテキスト「Okala」が発行されている。これは対象を主にインダストリアルデザイナーに絞っているという点で大変参考になる。

2006年には気候変動に代表される、いわゆる地球環境問題の現状に対する世界中の科学者による知見が、「サステナビリティの科学的基礎に関する調査報告書2006」としてまとめられている。そのうち、地球温暖化を中心とした今後の予測を地球シミュレーターによって描いたのが、山本良一責任編集「気候変動+2℃」である。そして、同じく気候変動による人類の危機を描いた、前アメリカ大統領候補アル・ゴアによる「不都合な真実」は、今年出版されると同時に映画化され大きな話題を呼んでいる。

こうして、30年前には警鐘でしかなかったサステナビリティやエコデザインは、いまや既成事実化し、実践の段階に入っている。本来デザイナーにはここに紹介した全ての本を一読していただきたいが、ここにそのごく一部を抽出し、手引きとしたい。

富士通株式会社 総合デザインセンター