第4章 「エコデザイン」
7. ステークホルダーの要請に応える
デザイナーはデザインをとおして様々なステークホルダー(利害関係者)の要請に応えなければならない。
生態学的、社会的規範
エコデザインは環境に調和するとともに経済的にも成立するものである。
環境調和性:
デザインは目に見える、あるいは測定可能な形で環境的な利点を生み出す。
経済的実現性:
デザインは市場において、競争力を持つ。
サステナブルデザインは社会的に公平である。
社会的公正:
デザインはその生産、使用、廃棄、再利用にかかわる全ての人々の要請に応えるべく考慮する。社会的公正とは地球上のあらゆる社会に暮す人々の基本的欲求にかなうよう留意することである。社会的公正には食糧、水、シェルター、生活費、幼児労働および強制労働の中止、教育の提供、基本的医療および、それ以上の事柄を含む。「社会的公正」の定義については、今後も多くの作業を通じて発展させ合意を形成してゆく必要がある。

ステークホルダーの要請
プロダクトデザインはステークホルダーの需要に応えることにより、様々なレベルで成功を収めることが可能となる。デザイナーが配慮すべきステークホルダーは4つのカテゴリーに亘る。
1. 環境
生物圏のあらゆる要素を含む
デザイナーは環境に対するインパクトを軽減するための製品コンセプトを作り出し、デザインの環境面での利点について明快に伝えることができる。
2. ユーザー
製品、システム、サービスに対し、最後まで係る人やグループを指す
エコロジカルなデザインは価値創造に向けた活動である。ユーザーの要請は、ユーザーフレンドリーで、適切なデザイン・ソリューションを導き出すために常に考慮される。ユーザーがエコロジカルな限界に対応してその行動を変えなければならないとき、デザイナーの役目はますます重要となる。
3. 社会
製品によって何らかの影響を受けるすべての人々
社会的公正に関する複雑な問題に応えなければならない時、エコロジカルデザインは、サステナブルデザインを取り込むことになる。デザイナーはコミュニケーションスキルを用いて、そのデザインの社会的価値を表現することができる。
4. クライアント
製品、システム、サービスのデザインを求めるもの
もしデザイナーがクライアントに、エコデザインが営業的にも有利で、顧客のブランドロイアリティを維持しうるということを説明できるなら、環境に適合した製品開発を行う可能性は一気に高まるだろう。
ステークホルダーの要請に製品で応えることは、バランスをうまくとることでもあります。デザインを、多くのステークホルダーの要請を満たすように方向付けることはエコデザインのプロセスにおける要である。
8. リサイクルのためのデザイン
寿命が来た時に、リサイクルが容易にできる製品をデザインすること、それはマーケットや製品によってシンプルにも複雑にもなる。デザイナーは製品のリサイクルにおける、経済的、技術的、インフラ的な要請を把握する必要がある。
リサイクル経済学
リサイクル素材経済学では以下の数字について検討する。
・回収のコスト
・分解とリサイクル工程のコスト
・廃棄物処理や有毒物質排除費用の削減による利益
・リサイクル素材の売り上げ

回収された使用済み製品は様々な経路をたどり、その部品は多くの異なる経路を経て処理される。
図15:使用済み製品のフロー
参考文献:『Okala ecological Design』
リサイクル素材の売り上げによる利益
デザイナーは分解の費用が最低限に抑えられるような(容易で簡潔な分解)製品のデザインをする必要がある。容易に分解できるように、素材の選定も重要。
また、回路基板や電池などは有害物質が容易に取り除けるようなデザインをすることにより、さらなる利益を見込むことができる。
注)易分解デザインに関しては以下の山際康之著「サステナブルデザインー製品開発における環境への配慮ー」を参照
『サステナブルデザインー製品開発における環境への配慮ー』 山際康之著(丸善/2004年)
