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第3章 「サステナブルデザイン」

2006年現在、我々の文明はすでに地球のキャリング・キャパシティ(環境が持続的に支えられる生命活動の総量=環境容量)を超えた規模での活動を行っている。

環境容量を超えた環境の規模

市場のニーズに応えて何でも商品化しようとする従来のマーケティングに対応したデザイン開発ではひたすら消費の拡大を招く。

従来のマーケティング手法によるデザイン

現代の文明の規模は一見現実的に見えるが、他者の犠牲の上に成り立っており、実際には不合理である。この調子で経済活動を続けた場合はいくつ地球が必要になってしまうのか? 市場のニーズと人々の欲求にまかせた従来の開発を行うと地球が何個あっても足りない。エコロジカル・フットプリント(注)で計算すると、日本人の生活は地球2.4個分、世界中がアメリカ人の生活をするには地球が5.3個必要。開かれた未来のように見えるが、実は非現実的なのである。

注)エコロジカル・フットプリント:
環境容量をあらわす一つの手法。人間活動により消費される資源量について、それを生産するために必要な土地面積で表したもの。人間が地球環境に及ぼす影響の大きさとみることもできることから、エコロジカル・フットプリント(地球の自然生態系を踏みつけた足跡)と呼んでいる。

従来の経済活動は不合理で非現実的

サステナブルな社会とは実は地球1個分でまかなえる文明のスケールなのである。サステナブルな社会は地球1個で100億人が暮らせる社会なのである。

サステナブルデザインを考える時デザイナーは、サステナブルな社会とはどのような社会であるかを想像し、その中に身を置き、何が必要かを的確にとらえてデザイン開発を行わなければならない。

バックキャスティング

その場合、有効なのがバックキャスティングである。スウェーデンの環境NGO、ナチュラル・ステップが提唱するこの考え方はデザイン開発のツールとして応用することが可能である。一旦自分自身の視点を未来の位置地点に据えて、そこから振り返って現在を見るパースペクティブが共有できると、今何をすべきか、の議論が可能となる。未来の社会におけるサステナブルな価値観を尺度としてデザインを評価することができる。

従来のマーケティングは市場の要求に応えるならば全て良し、環境に負荷を与えようと、社会や健康に多少害があろうと、法律に反しない限り何でも有りの成り行き次第。サステナビリティなど望みようもない。あらかじめ未来の社会の達成目標を立てた上で視座を定め、その地点での価値観をもとに将来のサステナブルな許容範囲(サステナブル・パス)に向かうコンセプトか、途中でキャンセルされてしまうアイデアかを判断する。

サステナブルな社会そのものを構想し、そこでの生活に必要なものやことを具体的にデザインするのがサステナブルデザインだ。

サステナブルデザインでサステナブルな社会へ