
北陸先端科学技術大学院大学様では、4年間で12%を超える消費電力の削減を実現するなど、環境保全活動に積極的に取り組まれています。開学以来取り組み続けてきた環境にやさしいシステムを目指して、先進技術へのチャレンジを続けています。

「20年を超える大学の歩みの中に、常に環境保全があった」
石川県南部、白山麓から加賀平野を見わたせる緑豊かな丘陵地にキャンパスを構える、北陸先端科学技術大学院大学様。同学は、世界最高水準の教育と研究を行いながら、西に日本海、北に手取川を臨む、豊かな自然を守り育てていけるよう、全学的な施設マネジメント委員会のもと、環境保全に積極的に取り組まれています。
広報調整課長 松島健一氏は、「本学では、導入計画に基づく省エネ機器への切り替えや、研究室ごとの電力使用量の公開など、環境保全に向けた啓発活動を実施してきました。本格的に取り組みを始めた2006年当時は、4年間で4%を目標に掲げていたのですが、実際に実施してみると2009年度までの4年間で12%を超える消費電力の削減を実現できました」と語ります。
2010年に同学が取り組まれた学内システム構築にも、環境保全への取り組みが随所に反映されており、同年の地球温暖化防止活動環境大臣賞を受賞されています。新しい学内システムのねらいはどこにあったのでしょう。
情報社会基盤研究センター准教授 敷田幹文氏は、「消費電力を減らして、環境にやさしいシステムを目指しました。ただし、環境保全をシステムに反映するのは、今回に限ったことではありません。これまでもハードディスク1台から消費電力の少ないものを選んできましたし、開学以来一貫して取り組んできたことです。今後も、より効率のよいシステムを目指してチャレンジを続けていきたいと思っています」と語ります。
「利用時間の違いに気づき、電力消費の削減を目指すきっかけをつかむ」

敷田氏:「本学では2006年から、学生、教職員、事務職員が使用するPC(パソコン)には最小限の機能のみをもたせ、WordやExcelなどのアプリケーションはサーバ上で運用するシンクライアントシステムを利用し、セキュリティの環境強化や運用の効率化を図ってきました。
しかし、利用管理を行ってるうちに、学生、教職員、事務職員では、サーバ使用の繁忙時期(時間帯)が異なることに気づきました。研究室ごとに1台のサーバを割り当てていたため、稼働率や時間帯、個々のサーバにかかる負荷にもムラが生じていたのです。そこで、今回2010年のサーバ刷新では、サーバの利用効率改善を目指しました。」
その解決策として注目したのが“サーバ集約”です。では、従来使っていた約120台のサーバをどのように集約し、利用効率改善につなげたのでしょう。
敷田氏:「今回のシステムでは、事務職向けのサーバ環境も学生向けのサーバ環境も、仮想化して同じサーバ上で動かすようにしています。こうすることで、昼間にピークを迎える事務職も、24時間均等に使う研究室(学生)も、サーバ容量を気にすることなくシェアでき、利用効率を高めることができるようになりました。結果的には51台まで集約し、電力や設置スペースも大幅に削減できました。
また、これまでバラバラの場所にあったサーバを1つの部屋に集めることで、運用面も容易になりました。今では、システムの余力も増えたので、割り当ての変更も容易にできるようになりました。」
「空調設備の配置を変える、サーバラックのダクトにも環境への気配り」

冷気を直接ラック内に供給することでサーバの冷却効率を高める特注ダクト
サーバ室では、ICT機器そのものよりも空調設備の消費電力が大きな割合を占めています。そのため、環境効果をより高められるよう、サーバの冷却にも細心の工夫がされています。
敷田氏:「特注したラックの上にダクトを取り付けることで冷気がサーバを直接冷やすようにしました。また、2列あるラックの背面を同じ方向に向け、冷気を通す『クールアイル』とサーバが排出する暖気を集める『ホットアイル』に分けることで、空調効率も高められるようにしました。
今後は、サーバから出る暖気を館内の暖房などに利用できないか検討しているところです。」
「さまざまな環境要因から環境効果を検証」
私、富士通研究所の研究員・植田が、北陸先端科学技術大学院大学様における環境影響要因を3つの項目から検証・評価しました。
特に「ICT機器の設置スペース」「ICT/ネットワーク機器消費電力量」で大きなCO2排出量の削減効果が得られました。
![【導入後のCO2排出量効果】 1. 業務スペース [導入前]2.7トン [導入後]1.0トン [削減量]1.7トン、2. ICT機器の設置スペース [導入前]158.1トン [導入後]62.0トン [削減量]96.1トン、 3. ICT・NW電力消費量 [導入前]105.4トン [導入後]51.7トン [削減量]53.7トン](/imgv3/jeco/green-it/vision1/case02/chart010.gif)
※本文中「サーバ120台を51台に削減」とありますが、CO2削減試算では、51台中新規用途で導入した研究業務用サーバ21台を除き、30台を対象に試算しました。
全ての環境影響要因をシステム刷新前と比較した結果、年間約151.5トン(杉の木約10,821本分(注1))、削減率にして約56.9%のCO2削減効果がありました。

年間約151.5トン(杉の木約10,821本分)
富士通換算。杉の木1本分(杉の木は50年杉で高さが20~30m)当たり年間に平均して約14kgの二酸化炭素を吸収するとして試算。
眠っているサーバのパワーを有効に
北陸先端科学技術大学院大学様のケースでは、導入前に120台のサーバが果たしていた役割を、集約された51台のうち30台のサーバでカバーすることができています。そこで環境効果の評価も30台を対象に実施しています。
今回のポイントは『稼働率』。もともとサーバ導入に際しては“高めのスペックでゆとりをもたせておきたい”という企業・団体様も多いことでしょう。しかし、実際にはそのゆとり部分はそのままに、あるいは瞬間的に求められるパワーのために、不要にエネルギーを消費されているケースも少なくありません。ムダなくCPUの稼働率(利用効率)を高めるためには集約・仮想化が有効です。結果、総体的に消費電力、CO2排出量も大きく抑えることができます。多くのサーバを所有していたり、支店(営業所)など分散されている企業・団体様には有効な手段ですね。
もう一つ、わたくし植田が特筆したいのが空調への工夫です。同学でのサーバ室のダクトへの工夫には、とても感銘を受けました。今夏以降、電力需給の逼迫に私たちは対応していかなくてはなりません。サーバの発する熱を冷却するための空調エネルギーをいかに抑えるか。もし、サーバ室があるなら、常設の空調機からの冷風を直接サーバにあてて冷却効率を高める、あるいは機器のレイアウトを変えてみるだけでも節電効果が期待できます。ぜひ試してみてください。
「学内システム導入を振り返って」

JAIST様では従来よりクライアント仮想化に取り組んでおられ、すでに全ユーザの対応を完了していました。本事例はそこをスタートとしてのものであり、お客様の「常に最先端を目指す姿勢」はわれわれ営業、SEにとっても非常に勉強になる点が多いです。今後も切磋琢磨し、パートナーとしてお役に立ち続けたいと存じます。
ICTは、皆様の想像を超えた様々なところで豊かな社会づくりにつながっています。
また、ICTの積極的活用は、その可能性を限りなく拡げていくことでしょう。富士通は、グリーンICTのご提供を通して、お客様とともに低炭素で豊かな社会づくりを実現してまいります。
「国内でも例を見ない先進の学内プライベートクラウド環境を実現」
120台あったPCサーバを、富士通のブレードサーバ「PRIMERGY BX920 S1」51台に集約しました。このサーバ上にVMwareのクラウドOS「VMware vSphere」を載せ、その上にCitrixのアプリケーションデリバリ製品「Citrix XenApp」とMicrosoftのアプリケーション仮想化製品「Microsoft Application Virtualization」を組み合わせております。利用効率の高い学内プライベートクラウド環境を実現しました。


51台のサーバすべてに定期的にコマンドを実行し、稼働状態をリアルタイムに把握。

サーバの稼働状況を1台のパソコンで管理し、リソースの配分やアップデートなどを実施。
新構想の国立大学院大学として1990年に創設。世界最高水準の教育と研究により、知識科学、情報科学、マテリアルサイエンスの3分野で数多くの優れた人材を輩出。石川県の産・学・官の連携拠点である「いしかわサイエンスパーク」の中核を担う。
| 所在地 | 〒923-1292 石川県能美市旭台1丁目1番地 |
|
|---|---|---|
| 学長 | 片山 卓也 | |
| 設立 | 1990年10月 | |
| 学生数 | 946名(2011年5月現在) | |
| ホームページ | ||