このページの本文へ移動

全国タンポポ前線マップを見てみよう

全国の皆様からこれまで7,700枚以上の写真を登録していただき、タンポポ前線マップを完成することができました。ありがとうございます。今回の調査からいろいろなことが見えてきました。在来種のタンポポ、帰化種(外来種)のタンポポ、シロバナタンポポのそれぞれの前線について愛知教育大学の渡邊幹男教授からコメントをいただきましたので、前線マップと合わせてご覧ください。

また、タンポポ前線は日本列島を北上し終わりましたが、帰化種のタンポポは夏から秋にかけても全国で咲いています。また調査も9月末まで実施しています。全国からタンポポの花や綿毛の写真、あるいは葉っぱだけでの写真でも構いません。皆様から引き続き送っていただくことにより、タンポポの特性等を明らかにしていくことができます。ご協力のほどよろしくお願い致します。

タンポポ前線2011

ニホンタンポポ前線

ニホンタンポポ前線マップ

ニホンタンポポ前線について(愛知教育大学 教授 渡邊幹男氏からのコメント)

ニホンタンポポ(低地性2倍体タンポポ)は関東地方(地方での名称はカントウタンポポ)から甲信越(地方での名称はシナノタンポポ)、東海(地方での名称はトウカイタンポポ)、関西・中国・四国・九州(福岡のみ)(地方での名称はカンサイタンポポ)にかけて分布している。その他の在来種としては、四国および中国地方には倍数体の在来タンポポが分布しているが今回は含めていません。

今回の開花状況から、ニホンタンポポは他のタンポポより群落として早く咲き始める傾向があります。本州の太平洋側では3月中旬から下旬にかけて開花が観察されました。さらに、本州内陸部では4月上旬、やや遅れて長野や新潟の日本海側で4月下旬に開花が確認できました。

都市化に伴い減少しているニホンタンポポではあるりますが、都市部でも一度は姿を消した公園などにも、分布を拡大していることも明らかになりました。ニホンタンポポは5月下旬には夏季休眠をし、地上部がほとんど枯れてしまいます。その姿は、秋にならないと見ることはできません。

さらに今回の調査から、岡山県以西の西日本および四国地方の一部に分布するニホンタンポポは江戸時代以前に人間によって運ばれた可能性が浮かび上がってきました。岡山県までは広範囲に面的に分布しているのに対して、それ以西や四国ではパッチ状に分布しています。例えば四国のニホンタンポポの分布は城跡を中心に同心円上に分布していることもわかりました。これは江戸時代以前に他の植物と一緒に持ち込まれた種子が、現在までに分布を拡大し、あたかも自然分布のようになったと思われます。江戸時代の人の動きが身近なタンポポから知ることができ、あたかもタンポポがタイムマシーンのはたらきをしているかのようです。

  • 次へ

帰化タンポポ前線

帰化タンポポ前線マップ

帰化タンポポ前線(主に雑種性帰化タンポポ)について(愛知教育大学 教授 渡邊幹男氏からのコメント)

帰化タンポポとは、ニホンタンポポと帰化タンポポ(人間によってヨーロッパから明治時代以降に日本に持ち込まれた植物)の交雑によって生まれた雑種性帰化タンポポです。その分布は日本全土に拡がっています。その開花は、3月下旬に九州南部に始まり、本州太平洋側では4月上旬、中旬には関東地方以西の各地で開花しました。そして5月にかけて北上し、上旬には岩手県南部、中旬には北海道の札幌市付近に到達し、下旬に稚内で確認されました。約2ヶ月かけて日本列島を北上したことになります。

雑種性帰化タンポポは、現在までの遺伝子解析を含めた調査では沖縄を除く日本各地に分布しています。開花のはじめはニホンタンポポより1から2週間程度遅い傾向が見られました。ヨーロッパに分布していた帰化タンポポにはおそらく夏季休眠性はなく、1年中咲いていると思われます。帰化タンポポの分布調査としては、夏から秋にかけて日本各地における開花状況を知ることによって、雑種性帰化タンポポの生理的特性等も明らかになると思われます。

  • 前へ
  • 次へ

シロバナタンポポ前線

シロバナタンポポ前線マップ

シロバナタンポポ前線について(愛知教育大学 教授 渡邊幹男氏からのコメント)

シロバナタンポポは、もともと西日本にしか分布していなかった種です。それが最近関東地方でもみられるようになりました。これは温暖化の影響だとも考えられています。

また、シロバナタンポポは4月上旬に九州や四国の一部で開花が確認され、4月中旬には関西、4月下旬には東海地方で開花しました。さらに5月上旬には関東や北陸地方で開花しました。この結果から少なくとも関東地方までは西日本の温暖な環境が拡大していると考えられます。本来確認したかった東北地方は、東日本大震災の影響もあったせいか、サンプル数も少なく今年の調査では確認できませんでした。

  • 前へ
  • 次へ

愛知教育大学 教授 渡邊幹男氏からのコメント

タンポポ前線調査のデータ蓄積に、ご協力していただきありがとうございました。日本各地から送られてきたデータに基づき、ニホンタンポポ・帰化タンポポ・シロバナタンポポにおけるタンポポ前線を作成しました。

おおよその傾向としては、西日本から東日本にかけて、まずニホンタンポポが開花し始め、それを追いかけるように帰化タンポポが開花して行きました。タンポポ前線マップ作成にあたってデータが不足し、不十分なデータしかない関東地方以西の地域に関しては、私の研究室で過去に調査を行った折りのデータを参考に、前線マップを作成してみました。

しかし、今年は東日本大震災の影響もあったせいか北関東以北のデータがほとんどありませんでした。特に、地球温暖化の現状をシロバナタンポポによって知ろうとしている調査では、まさに茨城県から福島県北部のデータが重要なカギを握っていると思われます。これに関しては来年以降の調査によるデータを待ちたいと思います。

タンポポは開花から綿毛になって、そう果(種子)を飛ばすまで、さまざまな変化をします。同じタンポポを毎日観察しその変化を見るのもおもしろいと思います。できればそのようなデータ(同じタンポポの毎日の観察記録)も、送っていただければ幸いです。

今後も、タンポポから見た生物多様性のデータ蓄積のため、ご協力お願いいたします。

  • 前へ